変動金利リスクと毎月のローンの支払いが増えることについて

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フラット35で住宅ローンを組む際、多くの方が2012~2013年のような歴史的な低金利の時期を除けば、ほとんどの期間で固定金利にするか変動金利にするかは悩みどころではないでしょうか。

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ここでは、筆者が住宅ローンを組む際に固定金利にした理由などを、変動金利の上昇リスクとローンの支払いが増えることで生活に与える影響などから説明してみたいと思います。

○変動金利の上昇リスクは?

そもそもフラット35で住宅ローンを組む際の融資実行金利は、日本国債の新発10年債券の利回りがベースになっている他、住宅金融機構が組成したモーゲージ債(住宅ローンを組んだ方からのローンを束にしたようなイメージ)の利回りなどにより決められてます。

中でもフラット35で契約する住宅ローンの変動金利は、5年毎の見直しが行われ、市場金利が仮に大幅に上昇したとしても、変動金利そのものは最大125%の上昇幅に上限が設定されています。

とは言え、仮に上限までの上昇があった場合は、当初に支払っている金利の25%幅分の上昇があるということになります。

例えば、当初の住宅ローンの支払いが「10万円」だと仮定すると、5年後に上限までの上昇があった場合は、「10万円×25%=2万5千円」の上昇となり、次の5年間は、毎月の住宅ローンの支払額は「12万5千円」となります。

そして、その5年後に再び、上限までの金利上昇があった場合は、「12.5万円×25%=3.1万円」の支払額の増額になり、次の5年間は「15.6万」程度の毎月の住宅ローンの支払額になります。

フラット35の場合は、繰り上げ返済せずに35年の満期で返済する場合は、最低でもこの見直しが6回あることになり、最後の5年間の上限は「約38万円!」となります。

実際には、そこまでの金利上昇が見込まれるというのは、可能性としては低いと考えられますが、(よほどの急激なインフレが起こらない限り、そうした事態は起こりにくい上に、中央銀行が高いインフレ率を阻止する)、金利の上昇リスクは理論的には青天井です。

※実際に1990年前後の日本の資産バブルのときは、融資金利はなんと「8%」程度で、デフレに慣れた1990~2010年前半の「失われた20年」世代には、信じられないような金利水準が実際にありました。その時の日経平均は高値で38,000円程度ですから、それぐらいの資産バブルが起こる可能性が再びないとは言い切れません。

さて、変動金利の上昇リスクをどう見るかですが、その根本的な要因は多岐にわたります。

○日本の財政赤字(対GDP比)
○民間企業の国際競争力
○世界規模でのインフレまたはデフレ
○人口減から人口増に転じるようなパラダイムシフト
○高機能ロボットなどの普及による大幅な労働生産性の向上

などなど、この他にも可能性のあることはかなりあると思いますが、基本的には、日本の景気が良くなる方向で進むときには、変動金利は上昇して、景気が悪くなると、変動金利は下落するという風に判断して大丈夫だと思います。

「なんだ、景気が良くなれば、きっと給料も増えるだろうし、安泰だ!」と思われる方もいるかもしれませんが、必ずしもそうなるとは限りません。

例えば、2003年~2007年の戦後最長クラスの景気拡大時期は、株価も上がり、経済学的には景気が良くなり、金利も上昇しましたが、民間の給与水準はほとんど変わらないか、下がり続けました。

国税庁 平成23年 民間給与実態統計調査結果では、2003年の平均年収444万円から、2007年の平均年収437万円でほぼ横ばいでした。(ちなみにリーマン・ショックのあった2008年には406万円
に急低下)

でも景気が良かったのであれば、企業は儲かっている筈だよね…そうなんです。景気がよくなるとほとんどの企業は儲かります。しかし、大企業や上場している企業は、社員の給与を増やすところは、
稀です。

では、誰の所得が増えているかと言いますと、答えは株主への配当です。

財務省の法人企業統計の調査結果(http://www.mof.go.jp/pri/reference/ssc/results/index.htm)によれば、2003年~2007年に支払った配当金は、2003年の72,335億円から2007年の140,390億円へほぼ倍増となっています。

サラリーマンの給料が殆ど変わらないか、減っているのとは対照的な状況です。

日本企業の配当性向はそれでも、海外の企業に比べて低く、外国人投資家の投資拡大の影響もあり、配当性向は今後も一段の上昇圧力がかかることが予想されます。

前置きが長くなってしまいまいましたが、今後、日本経済が上向き景気が拡大すると、変動金利の上昇に伴い、毎月の住宅ローンの支払が増える可能性はありますが、企業の業績が良くなったとしても、給料は微増かほとんど変わらず、株主への配当だけが増えるという状況が再び起こっても全然おかしくはありません。

そういった諸事情を考えますと、変動金利の上昇リスクに対して、サラリーマンやサラリーウーマンの方の可処分所得が増えるかどうかは、かなり不透明と言わざるを得ません。

もちろん、景気が悪くなって、デフレが進むときには変動金利も下がりますが、給与所得も低下することが予想されます。

変動金利で30年や35年といった長めの住宅ローンを組む際は、そういったリスクを慎重に判断する必要があると思います。

ちなみに筆者が2010年前後に勤務していたある会社では、会社全体で、ある時期、毎年のように最高益を更新し続けていましたが、筆者の部署は売上と利益はあまりいい数字ではなく、他部署が業績を支えていました。しかし、その業績を支えていた部署の一部の人ですら、給料が微増した程度で、会社全体では、ほとんどの人が給料は据え置きでした。(実際には平均年収は長い間変わらず…でした)

そして、その最高益を更新し続けている間も、企業は配当を毎年のように増額し続けていました。

筆者は、株主への配当増額には基本的に賛成です。むしろ、業績が上がっても給料が上がるという時代は過ぎ去ったという認識が必要であると思います。そして、給与所得というのは、毎月ほぼ定額のような形で支払って貰えるというお金という認識でいた方が賢明ではないかと思います。

あるいは、株主の側へ回るかだと思います。

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