任意売却における住宅金融支援機構の控除費用について

任意売却における住宅金融支援機構の控除費用について

フラット20や35を提供している住宅金融支援機構が債権者にいる場合の任意売却については、住宅を売却した代金の中から、控除できる費用があらかじめ基準として定められています。

なお、住宅金融支援機構が債権者にいない場合の控除費用については、住宅ローン契約を結んだ金融機関など個別の契約状況により内容が異なってきますので、ご注意ください。

では、早速、見ていきましょう。

任意売却における住宅金融支援機構の控除費用

住宅金融支援機構が定めている基準を下記の通り、表にまとめましたので、ご覧ください。

控除項目内容
引っ越し費用原則認められていないが、10~30万円は出るケースが多い
売買契約書の印紙代認められてない
マンション管理費過去5年分の元本のみ(遅延損害金は不可)
マンション修繕積立金過去5年分の元本のみ(遅延損害金は不可)
駐車場代認められてない
優先税全額
優先税以外の税金10万円又は固定資産税・都市計画税1年分のいずれか低い金額(延滞金は不可)
司法書士報酬原則、1債権につき1万円以下
登録免許税1,000円
不動産会社の仲介手数料売買金額×3%+6万円+消費税
後順位抵当権者等に対する抹消承諾料ー第2順位以下30万円または残元金の10%(※いずれか低い額)
後順位抵当権者等に対する抹消承諾料ー第3順位以下20万円または残元金の10%(※いずれか低い額)
後順位抵当権者等に対する抹消承諾料ー第4順位以下10万円または残元金の10%(※いずれか低い額)

では、順番に見ていきましょう。

〇引っ越し費用

任意売却の場合は、基本的に引っ越し費用が出るといわれていますが、住宅金融支援機構は原則としては、認めていません。

ただし、実際に引っ越しをした後、家計の状況や引っ越しにかかった費用などの書類を提出することで、交渉することは可能です。

もし、その申請が認められれば、引っ越し費用として10~30万円程度の費用は認めてくれることがあります。

〇売買契約書の印紙代

任意売却が決まった後には、売買契約書を書面で交わす必要がありますが、その契約書には、収入印紙を貼ることが法律で義務付けられています。(印紙税法)

売却代金及び軽減税率の適用の可否にもよりますが、10,000~20,000円程度の収入印紙を貼る必要があります。

金額としては、それほど大きな金額ではありませんが、住宅金融支援機構はこの印紙代についても控除費用としては認めていません。

〇マンション管理費

マンションの管理費については、原則、5年分の元本のみを控除費用として認めています。

ただし、遅延損害金については認めていません。

遅延損害金の金利については、個別の契約内容により異なりますが、年利10%の高い金利負担となることがありますので、注意が必要です。

〇マンション修繕積立金

こちらも、マンションの管理費同様、原則、5年分の元本のみを控除費用として認めています。

ただし、遅延損害金については、控除費用には認めていません。

こちらも、遅延による金利負担がどれくらいになっているのかを確認しておく必要があります。

〇駐車場代

駐車場の利用代金の滞納分は、住宅金融支援機構の控除費用としては、認められていません。

同様に、駐輪場の利用代金や共有の庭の利用代金などの利用料の滞納についても、原則、認められていません。

〇優先税

国税徴収法第16条では

「納税者が国税の法定納期限等以前にその財産上に抵当権を設定しているときは、その国税は、その換価代金につき、その抵当権により担保される債権に次いで徴収する」

とありまして、税金の法定納期限と抵当権設定登記日の早い方が優先されます。

もし、支払いを滞納してある税金があり、それが住宅ローンの支払いより優先される税金の場合、売却金額より控除費用として認められます。

〇固定資産税・都市計画税・住民税など

住宅金融支援機構では、税金の滞納については、ほんのわずかしか、控除費用としては認めていません。

10万円又は固定資産税・都市計画税1年分のいずれか低い金額(延滞金は不可)

仮に、これらの税金をはじめ、住民税や保険料などで滞納があり、任意売却物件に差し押さえ登記がされている場合は、任意売却そのものができないことになりかねません。

ただ、現実的には給料差し押さえなどで徴収ということがほとんどです。

税金の滞納はかなり厳しい措置が待っていますので、どんな手立てを使っても支払う必要がありますが、どうしても費用が捻出できない場合は、新しい買い手や債権者と相談するしかありません。

〇司法書士報酬/登録免許税

業務内容を考えますと、司法書士にとっては、実に厳しいと言わざるを得ない金額しか認められていないのが現状です。

〇不動産会社の仲介手数料

一般的な不動産売却と変わりありませんが、後順位抵当権者などからは、満額での手数料を認めないというケースもあります。

また、平成24年に住宅金融支援機構の嘱託社員が、任意売却の斡旋を特定の不動産会社に行うことで、賄賂を受け取っていたという事件がありました。

このような例はかなり特殊なケースですが、任意売却のことをよく分からない不動産会社や悪質な不動産は残念ながら存在します。

任意売却を委託する不動産会社も慎重に選ぶ必要があると言えるでしょう。

〇後順位抵当権者等に対する抹消承諾料

任意売却では、一般的には、住宅ローンの残額を売却代金が下回ることがほとんどです。

住宅ローンの借入先が1社であれば、問題はありませんが、債権者が複数存在する場合は、その売却代金から、すべての債権者に支払っても融資した金額に比べても、まだ足りないという状況に陥ります。

しかし、任意売却を成立させるためには、そうした後順位抵当権者等に対しても抵当権を抹消してもらわなくてはいけません。

そして、その抵当権の抹消のための承諾料が、住宅金融支援機構の控除費用として定められています。

通称、ハンコ代と呼ばれるこの費用は、全額は回収できない後順位抵当権者に任意売却に賛同してもらために、用意される費用になります。

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まとめ

「任意売却における住宅金融支援機構の控除費用について」と題してお送りしてきましたが、いかがでしたでしょうか。

なお、任意売却の明け渡しについてもっと詳しく知りたいという場合は、任意売却の明け渡しについて~時期・引っ越し代金・手続きなど~よりご覧ください。

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