任意売却後の住宅ローン残高と債務整理について~売却後の過剰な心配は無用?~

任意売却後の住宅ローン残高と債務整理について~売却後の過剰な心配は無用?~

住宅ローンの支払いが苦しくて、任意売却を選択するかどうかということを迷うことの一つに、住宅を売却した後の借金の残り、つまり、残債務があると思います。

もう少し平たい言葉で言い換えますと、住宅を売却して、マイホームも失って、その上、借金まで残ってしまうなんて・・・そう考えると、任意売却に踏み出せない・・ということになるかと思います。

しかし、現在の日本では、かつてのバブル後の不良債権の処理に悩まされたこともあり、「債権管理回収業に関する特別措置法」が平成10年に議員立法され、債権管理回収業が民間事業者に解禁されました。

しかも、それは反社会的勢力を排除するための規制をかけられた上での立法となっておりますので、法に守られた中での借金返済となります。

そこで、今回は、任意売却後の住宅ローン残高とその債務整理について説明してみたいと思います。

では、早速、見ていきましょう。

任意売却をした後の、返済はどうなるの?

まずは、任意売却から、任意売却後の流れを確認しておきましょう。

任意売却直前の状況は下記の通りとなります。

任意売却前

金融機関は、住宅ローンの支払いの滞納が続いたことを受けて、まず債務の一括返済を保証会社を通じて、行います。(代位弁済)

そして、保証会社は金融機関から譲り受けた債権を少しでも多く回収するために、今度は、住宅ローンの滞納者へ市場価格に近い価格で売却できる任意売却の打診を行います。

住宅ローン滞納者は、それを受けて任意売却の申し出を行い、任意売却を実施します。(連帯保証人や債権者が他にいる場合は、合意を取り付ける必要があります)

そして、今度は、任意売却を行った後の債権の行方は、下記の通りとなっています。

任意売却後のイメージ

まず、保証会社ですが、任意売却の売却代金で債権の回収を行います。

売却できた金額が住宅ローンの残高を同じか、超えていれば問題ないのですが、実際はほとんどのケースで住宅ローンの売却損、つまり債務が残ります。

では、保証会社はその分だけ、損をするのでしょうか?

1件だけ見れば、損をしているように見えますが、実際には、保証会社は銀行を通じて、数千件、数万件の保証契約を結んでおり、その上で、引当金のような形で住宅ローンの債権の一部が未回収に終わることを想定して、保証料を決めているのです。

つまり、保証会社は住宅ローンの契約者から保証料を集めていますが、そのうちの一部が回収不能になることは予め想定しているということです。

もちろん、急激に住宅ローンの破たん者が増加してしまうと、保証会社も困りますが、そういった住宅ローン破綻者がどれくらいの確率で発生して、どれくらいの債権未回収リスクがあるのかということは、プロである保証会社は十分承知の上で、ビジネスを行っているので、個人個人がそれを細かく気に揉む必要はありません。

では、その後を見てみましょう。

債権管理回収会社、通称サービサーとよばれる民間会社が今度は、保証会社から担保がなくなった所謂、「無担保債権」を買い取ります。

これまでは保証会社は、最悪の場合、マンションや土地、一軒家などを競売にかけてでも債権の一部を回収できたのですが、任意売却後は、担保となっていた物件の権利は、新たな買主の手に渡ってしまいます。

つまり、保証会社からサービサーに渡る債権には、もう何も担保となるものがないということになります。

では、サービサーは、この無担保債権を幾らで買い取るのでしょうか?

これには、実は明確な基準はありませんが、かなり買い叩かれるのは明白です。

なぜなら、担保がない上に、これから債務を返す人は、住宅ローンを支払うことができなかった人だからです。

任意売却後の債権が無担保債権に、そして返済へ

もう少し、詳しく債権の流れを見てみましょう。

下のイメージは、住宅ローン債権が、無担保債権に変わり、債権回収にまで至るイメージとなります。

image03

担保なしの債権、つまり無担保債権は、不動産金融業界では安く買い叩かれるのが一般的で、特別な理由がない限り、無担保債権に高い値段を払おうという会社はありません。

イメージでは、任意売却後の債権は額面で1,000万円が残っていますが、無担保債権は100万円となっています。

つまり、物件という担保を失った債務者は、100万円を債権回収会社に支払えば、借金は返済ということになります。

そして、残った100万円の借金を月々、どれくらいの金額で、どれくらいの年数、支払えばいいの?ということついては、債務者の支払い能力によって変わってきます。

例えば、月2万円から返済するのか、あるいは月5万円を頑張って返していくのかということは、債務者と債権管理回収会社との交渉になります。

通常は、「生活状況等申出書」という書類をサービサーに提出を行い、それをもとに、支払計画を作っていきます。年単位で見直しを行うのが一般的で、通常は5年程度が目途となっています。

生活状況等申出書とは、債務者の家族が、毎月、どれだけの出費と、どれだけの収入があるのか?ということを債権回収会社に申し出る書類です。

サービサーからの無担保債権の買い取りと借金の完済

いよいよサービサーへの返済がはじまり、その後の完済までの道のりについて説明します。

サービサーへの支払いを通じて、再スタートを切った債務者が、新しい住居に移り、その結果、世帯収入も再び、収入が増えたとします。

そうなると、サービサーから無担保債権を買い取り、借金の完済を行うという方法があります。

そうすれば、晴れて債務者は債務者でなくなり、また、新たな気持ちで生活を送っていけるということになります。

また、仮に債権の支払いを一定期間続けた後に、サービサーとの交渉を行うことで、債務整理を行うこともできます。

つまり、残りの借金の減額だったり、借金をゼロにしてもらったりすることができるということになります。

ただし、このサービサーとの交渉については、個人あるいは代理の弁護士とサービサーとの間での交渉に限られており、債務整理がうまくいくという保証はどこにもありませんので、あくまで交渉の余地があるという程度でお考えいただければと思います。

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まとめ

「任意売却後の住宅ローン残高と債務整理について~売却後の過剰な心配は無用?~」と題してお送りしてきましたが、いかがでしょうか。

任意売却後の債権の流れ、そして、その後の債務の処理について理解してみると、任意売却がスムーズに行った場合に限りという条件はつきますが、決して過剰な心配をする必要がないことがお分かり頂けるかと思います。

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